理学療法学専攻

研究内容
医学の世界では,近年科学的根拠に基づいた治療の選択(Evidence Based Medicine: EBM)が重要なテーマとなっています。理学療法の分野においても,その効果の科学的根拠(Evidence Based Physical Therapy)を示すことが求められています。この要請に応えるため,理学療法学科では各教員の専門性を活かしつつ研究活動にも力を入れています。
理学療法学科の研究体制は基礎理学療法学と臨床理学療法学から構成されています。ここでは,行われている研究について紹介します。
基礎理学療法学
  • 基礎理学療法学では解剖学、生化学、生理学などの基礎医学的手法を用いて人体の機能について研究を行っています。生きているヒトを使っての研究が難しい内容も多いため、動物実験なども積極的に取り入れています。
  • 生化学的な研究では、関節リウマチという病気などで原因となるサイトカインという物質に注目し、この物質がどのように病気の発生に関わるのか,またこの物質を中和する方法などについて動物実験や臨床的なデータから明らかにしようとしています。
  • 筋肉に関する研究では、動かないことによる筋肉の痩せ(萎縮といいます)や関節が固まる(拘縮といいます)といった現象の原因究明やこれらの現象への対策として温度刺激や超音波、他動運動(外からの力で強制的に動かすこと)の効果について、主に動物実験により取り組んでいます。
  • そのほか,慢性的な痛みに関する原因究明と治療に関する研究も始まっています。
臨床理学療法学
  • 臨床理学療法学では、主に理学療法の対象別に治療方法や予防方法に関する研究が行われています。研究の対象がヒトとなる研究が多いため、研究室にとどまらず医療機関や地域でのフィールドワークなど活発な活動が行われています。
  • 高齢者や身体障害をお持ちの方を対象としたグループでは、自立支援・介護予防の見地からの取り組みが行われています。加齢や病気のために身体が思うように動かなくなった方でも、住み慣れた地域社会のなかで生き生きと生活していけるために社会としてどのような仕組みが必要なのか、身体の機能を維持するためにはどの程度の運動が必要かなど、行政と連携しながら研究を行っています。
  • 呼吸機能障害を対象としたグループでは、近年増加が問題となっている慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する取り組みが行われています。地域行政と連携した大規模な発生頻度と関連する因子に関するもの(疫学研究といいます)やCOPD患者を早期に発見するための評価法、有効な治療法についての研究を行っています。