保健学科について

保健学科長あいさつ (受験生の皆さんへ)
  •  ようこそ長崎へ、
       ようこそ保健学科へ
  • 長崎大学医学部
    保健学科長
    澤井 照光


 受験生の皆さん、目指すべき道は定まりましたか。それとも、まだ悩んでいる最中ですか。無限の可能性を信じている皆さんにとって、将来像を自ら限定してしまうという作業は苦痛を伴うことかも知れません。しかし、時間は決して待ってはくれないのです。遅かれ早かれ、いつかは行くべき道を自分自身で選び、「夢」として掲げねばなりません。そして「自分の夢」を自分自身が努力した結果として叶えたとき、生まれてはじめて皆さんは「一人前」として万人に認められる存在となるのです。

 皆さんは「少子高齢化」という言葉を耳にしたことがありますか。日本は世界でトップクラスの長寿国であり高齢者は増える一方ですが、生まれてくる子供の数は少ないため、高齢者の比率が急速に上昇していることが問題視されているのです。それは高齢者にとっての問題ではありません。皆さんの未来に大きく立ちはだかっている課題なのです。想像してみましょう。皆さんが「一人前」になって社会で活躍し、次の世代を育てる立場になった頃、日本は働く人1.2人で1人の高齢者を支えるという状況になると予測されています。もしも高齢者の方々が病に倒れ、付きっきりで介護を要する状態になったらどうなるでしょうか。仕事に専念できるのは、6人のうちたった1人だけになってしまいます。

 長崎大学医学部保健学科は、看護学・理学療法学・作業療法学の3つの専攻で成り立っています。卒業して「一人前」になってからの職務は、病気等が原因で日常生活が困難になった人が、その人本来の生活を取り戻せるよう働きかけることです。病気を予防するための指導や、自立した生活をいつまでも送ることができるような支援を続けていくことです。小さな子供もその対象になりますが、圧倒的に多いのは高齢者です。子供は社会の「宝」ですが、私たちよりも多くの知識と経験を有する高齢者も社会にとっては大切な存在です。高齢者が生涯にわたって自立した生活を過ごし、社会の一員として活躍できる未来こそ、皆さんにとって、次の世代の子供たちにとって、理想的な未来ではないでしょうか。

 人が単に長生きするだけではなく、より健康に生きるためにどうすれば良いのか、やるべきことは無限にあります。そのために必要な科学的知識や理論、治療法や医療機器等を進歩・発展させていくためには「人」が必要です。今、私たちは頑張っています。これからも頑張っていきます。ですが、1人でも多くの人の力が加われば、少しでも早く理想に近づくことができるはずです。より良い未来を創造できるかどうか、それは皆さんの手に委ねられています。これから皆さんはそれぞれの「夢」を見つけ出し、それを叶えるため様々な知識や経験を積み重ねていくことでしょう。その「夢」を皆さんと共有し、共に前へ進んでいきたい、それが私たちの願いであり思い描いている「夢」です。